モナムール京都
主に京都で活動する演劇人・川渕幸治郎の今を手前味噌でお届けする雑録ウェブログです。
イラストレーション:五藤七瑛(演劇集団Q)

Next Works

【出演・制作】
ピンク地底人プロデュース
『SALLY SINAMON』
作・演出:林家蔵之介(ピンク地底人3号)
2008年1月11日(金)~13日(日)
京都市東山青少年活動センター創造活動室

2007年春に引き続いてピンク地底人プロデュースに出演します。ここの作家・林家くんはこの一年で、僕がイチオシする作家さんです。また一緒にできるのは嬉しいことです。



Profile

川渕幸治郎

Author:川渕幸治郎
京都にてフリーの役者として活動。WEBデザイン・グラフィックデザインも手がける。
下のコンテンツは一部準備中です。少々お待ちください。



詳しいプロフィール紹介。
ご依頼の要綱もこちらに。
3/9更新!


生い立ち及び芝居歴。
準備中。


デザイン関連の作品集。
第三回アップ。


ご連絡はこちらに。
(メーラーが起動します。
ご注意ください)



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思い出す夢
夢を見た。

そこは僕が高校時代に過ごした音楽室である。
僕は演劇部と掛け持ちで器楽部にも所属していた。
その練習場になっていた音楽室である。

ただしそこは8年のうちに改装されたのだろう、
立派な会議室が併設されている。そこに僕は座っていた。
時刻は24時を回ろうという頃なのに、まだ少数の生徒が
居残り、練習を続けている。

「僕らの頃は6時になったら帰されたものですけどねえ」

そう僕が語りかけている相手は、僕の後輩にあたる
現役の女の子である。もちろん夢の登場人物に過ぎず、
現実にいる人ではない。小奇麗にまとまったミディアム
カットに地味なメガネ。いかにも文化系の女子といった
出で立ちであった。あの世代独特の清潔感と潔癖さを
漂わせてる、懐かしい雰囲気の女の子。

彼女は僕に過去の記録と思われるビデオを見せてくれた。
大きく、でも客席はがらがらのホール。県のコンクールの
映像と思われる。舞台上に現れる人々。見知らぬ先輩達。
やたらでかいアフロの人やら、とにかく格好が奇抜なのだ。
しかし僕は思い出す。ああいたいた、こんな先輩。
そして僕が舞台上に現れる。松葉杖をついて、脚にはギブスが
入っているらしくパンパンである。
僕は一瞬何故かと思うが、それもすぐに思い出すことができた。

そう、僕はこのコンクールで引退する先輩のために、
花束を脚に仕込んでいるのであった。冷静に考えれば
そんなバカなという話だが、実際そんな実感があったのだから
仕方ない。

どれだけその映像を見ていたのか分からない。

その後、映像は僕がローソンで買い物をしている映像に
変わる。なぜか防犯カメラの映像である。コンクールの
帰りのようだが、店内には何故か僕一人。今でも使って
いる母親の作った浴衣を着ている。

「僕ですよ。まだ若いなあ」僕は女の子にそう言った。
女の子はただ笑ってその映像を見ている。さっきから
彼女はたったの一言も発さない。よくよく見ている
うちにその女の子が、現実の知り合いの女性のような
顔に見えてきたが、もちろんその女性が高校生である
わけはないので夢の中で僕は「気のせいだ」と思った。

そういえばコンクールの行き帰りに僕はこの浴衣を
着ていたんだっけか。そう僕は思い出すと同時に
だんだんとこのローソンで働いたことがあるような
気がしてきた。僅かの期間であったけど。

思い出した。僕はこの店で確かに働いていた。
何故忘れていたのだろう?

そう思った瞬間、僕はそのローソンのカウンター内に
いた。同じくカウンター内には制服を着たパートと
思しき30代の女性が二人。一方の人の顔は思い出せる
ような気がするが、僕が勤めていた頃の人が今でも
残っているわけがない。

僕は現実にローソンで働いていたことがある。初めての
アルバイトだった。大学一回生のころだった。だが
そのローソンとは違う。その店は奈良と京都の県境だったか、
大阪と奈良の県境だか、それとも実家の隣町だったのか、
とにかく寂しい国道にポツリと立っているローソン。

僕は制服を着ているわけでもなく、懐かしく店内を見渡した。
そこの物を見ていると、働いていた当時の思い出が
妙に生々しい感覚を伴って蘇ってくるのだ。

なぜかシフト表は当時のままで、「川淵孝次郎」だか
間違ったつづりで僕の名前が書いてある。店長はなかなか
僕の名前を正しく覚えてくれなかったのであった。

バックルームへの入り口はカウンター内にあり、
それが異様に狭いのだ。確かにそうだった。

入って二週間くらい、店長の奥さんだと勘違いしていた
パートの女性がいたんだっけか。面接の時も一緒だったし、
ほぼ毎日店長とシフトに入っていたから。でもそれは
勘違いであって、ただマネージャーという役職であった
からに過ぎない。あの時は恥をかいたなあ。

シフト表には「大家」と書いてある。
仕事を引継ぐ人で「大家」という40代のおばさんが
いて、その人がいつも遅刻する上に相当のクセモノで、
僕は彼女に対して相当に嫌悪感を感じていたのだった。

夢の中で僕は漠然と不安に襲われる。
さっきから僕はものを思い出してばかりだ。
現場に立つと実感として思い出されることばかり
なのに、どうして僕はこれらのことをすっかり
忘れてしまっていたのだろう?全部事実だったのに、
その中で心を動かしていたのに、どうして日々の
生活の中で、人は過去を忘れていくのだろう?

はたと目が覚めた。

まだ早い布団の中で、僕は思い出した過去をなくすまいと
手の中にあるように生々しいその記憶を頭の中で
リピートする。


違う。

嘘だ。全部嘘の記憶だ。全部夢だったのだ。

僕は浴衣のままコンクールに行ったこともないし、
そんなコンビニも存在してない。音楽室だって
きっと改装なんかされてないし、24時まで高校生が
クラブのために残っているはずもない。

でもそれは全て一度失って思い出した実感のあったもの
ばかりだったし、現実に戻った今も妙にリアルな
感触は未だに残ったままである。

そう思うと、僕が布団の中で、足元にどこまでも続く
青空が広がっているような、奇妙に恐ろしいような
感覚に襲われて、もはや一睡もすることができなくなった。
記憶の形作る世界はなんと曖昧であることだろう。

起き上がり、コーヒーを淹れてそれを飲み干すまで、
僕の中には夢の記憶がガサガサと一定の質量を保ったまま
転がりつづけ、そして今、こうして文章にすることで
完全に夢の中のものとして消え去った。

という次第である。
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この記事に対するコメント

ども。
はじめてここに書きます。
ここ数日の急なシフト変更お疲れ様でした。
こういうとき、頼れるのは結局自分自身なんでしょうね(苦笑)

あ、あと川渕さんの文章、なんとなく村上春樹の文体に似ている気がするのは俺だけでしょうか??

【2006/12/08 21:10】 URL | おーたに #AEDwhPxk [ 編集]


克ちますとも自分自身に。
今晩も行ってまいります。
明日は朝から稽古だいえい。

村上春樹は高校の頃に読み漁り、
最近もまた三部作を読み返しました。
もうちょっと凝った文を書こうと
思うとこういう書き方になります。
ようするに影響されすぎということ
ですなあ。

【2006/12/08 21:34】 URL | かわぶち #- [ 編集]


僕は、文体というより、表現のタッチが、どことなく、乙一っぽいなぁ?と思いました!なんか、映像化してみたいな!と思わせるストーリーですねっ!?(笑)

【2006/12/09 01:21】 URL | キムラ #- [ 編集]


乙一は実は読んだことがないのですねえ。
表現がちょっぴり似てるんですか?
興味が沸いてきました。
『GOTH』でしたっけ?あれは乙一でした
よねえ。確か。

映像化はできるかどうかわかりませんけど
演劇脚本化はできるのだろうか…
無理ですね。あれあれ。

たまにヘンな夢を見ますが、
基本夢を全く覚えていない性質なんです。
夢日記でもつけてみるかな。

【2006/12/11 09:01】 URL | かわぶち #- [ 編集]



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